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東京地方裁判所 昭和50年(特わ)637号 判決

(被告人)

一、本店所在地

東京都足立区千住三丁目三一番地

永大建設株式会社

右代表者代表取締役

重永義一

右会社代理人

重永和徳

二、本籍

東京都板橋区大山西町三五番地

住居

同都文京区小石川五丁目一〇番一七号 メゾン小石川一〇〇二号

職業

会社員

重永和徳

昭和一九年三月二七日生

(出席検察官)

検事 清水勇男

主文

被告会社永大建設株式会社を罰金壱千萬円に、被告人重永和徳を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人重永和徳に対し、この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都足立区千住三丁目三一番地に本店を置き、建売住宅の売買等を営業目的とする資本金三〇〇万円の株式会社であり、被告人は、昭和五〇年六月ころまで被告会社の代表取締役社長として同会社の業務全般を統轄していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部及び違約金収入を除外して仮名預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四六年四月一三日から同四七年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得が四九、〇〇九、六二一円(別紙一修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、昭和四七年五月三一日、東京都足立区千住旭町四番二一号所在所轄足立税務署において同税務署長に対し、所得金額が七、六五四、五三一円であり、これに対する法人税額が二、五五〇、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同会社の右事業年度の正規の法人税額一七、七四八、三〇〇円(別紙三法人税額計算書参照)と右申告税額との差額一五、一九八、〇〇〇円を免れ

第二  昭和四七年四月一日から同四八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得が九四、一〇四、七一二円(別紙二修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、昭和四八年五月三一日、前記足立税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二〇、八一五、〇一一円であり、これに対する法人税額が七、三八七、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の方法により同会社の右事業年度の正規の法人税額三四、三二〇、七〇〇円(別紙三法人税額計算書参照)と右申告税額との差額二六、九三三、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全般につき

一、被告人重永和徳の当公判廷における供述

一、同じく収税官吏に対する質問てん末書一二通

一、同じく検察官に対する供述調書

一、被告会社の会社登記簿謄本二通

判示第一及び第二の各年度における実際の所得金額算出の根拠につき

(当期売上高、当期仕入高について)

一、収税官吏吉富正気作成名義の昭和四九年五月一七日付売上、仕入、売掛金、買掛金に関する調査書

(受取手数料、違約金収入について)

一、前同人作成名義の昭和四九年五月二七日付受取手数料、違約金収入調査書

(期首商品在高、期末商品在高について)

一、前同人作成名義の昭和四九年五月二九日付昭和四七年三月末たな卸資産調査書

一、同じく昭和四九年五月二九日付昭和四八年三月末たな卸資産調査書

(外注加工賃、支払手数料、給料その他のいわゆる経費科目について)

一、前同人作成名義の昭和四九年五月二九日付、昭和四七年三期経費調査書(ただし検事寺西輝泰作成名義の昭和五〇年四月一四日付捜査報告書で一部修正され数額として採用)(47/3期分)

一、同じく昭和四九年五月二九日付昭和四八年三月期経費調査書(48/3期分)

(雑収入、受取利息について)

一、収税官吏土谷信雄作成名義の昭和四九年五月二〇日付預金および受取利息調査書(一)

一、同じく昭和四九年五月二〇日付預金および受取利息調査書(二)

(有価証券譲渡損益、受取配当金について)

一、重永和徳作成名義の昭和四九年五月一五日付有価証券の売買取引等についてと題する上申書

一、光信用金庫足立支店長作成名義の昭和四九年五月一五日付証明書

(支利息38/3期について)

一、収税官吏土谷信雄作成名義の金融機関借入金に対する支払利息調査書

(保険代理店手数料38/3期について)

一、重永和徳作成名義の昭和四九年五月一五日付保険取扱手数料の収入についてと題する上申書

(貸倒引当金繰入超過額について)

一、検察事務官松尾久作成名義の昭和五〇年一一月五日付報告書

(その他の科目及び公表全額等について)

一、押収にかかる昭和五〇年押第一四五〇号の符一の法人税決議書一綴

一、同押号の三の総勘定元帳一綴

一、同押号の二の法人税確定申告書

一、同押号の符四の総勘定元帳一綴

(法令の適用)

被告会社につき

法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)、二五条一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村勲)

別紙一

修正損益計算書

永大建設株式会社

自 昭和46年4月13日

至 昭和47年3月31日

No.

〈省略〉

〈省略〉

別紙二

修正損益計算書

永大建設株式会社

自 昭和47年4月1日

至 昭和48年3月31日

No.

〈省略〉

〈省略〉

別紙三

法人税額計算書

永大建設株式会社

自 昭和46年4月13日

至 昭和47年3月31日

No.

〈省略〉

自 昭和47年4月1日

至 昭和48年3月31日

〈省略〉

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